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社労士コラム

労働組合

2019年8月7日 社会保険労務士 原田聡

賃金や労働時間等労働条件の改善をめぐって、会社は労働組合からの団体交渉を求められることがあります。この団体交渉に対して、会社は交渉を拒むことはできません。労働組合とは、労働者が団結して結成された組織で、会社との団体交渉等は、憲法第28条で保証された勤労者の権利です。また、会社は、労働組合加入等を理由に解雇や配置転換等不利益な取り扱いもできません。

 会社にとって、労働組合は敵対関係となりがちですが、労働組合を通じて従業員の意見に耳を傾ける機会の増加をチャンスととらえるならば、従業員の考えがトップにまで伝わる風通しのよい企業ともあるかもしれません。
 会社より経費援助を受けている労働組合は、労働組合法上は労働組合とは認められません。
例えば、労働組合に専従している者に対して、従業員と同じように賃金を支払ってしまうと、その賃金は労働組合に対する経費援助となってしまいます。労働組合専従者の給料は、主に労働組合に加入している組合員が支払っている組合費から支払われています。

 会社から労働組合への便宜供与は経費援助としてすることはできませんが、便宜供与であっても、会社に最小限の広さの事務所の供与やチェックオフ(労使協定で会社が組合員の給料から組合費を控除して、それを労働組合へ渡すこと)等は経費援助とはされません。   
とはいえ、会社はそれをしなければならないといった法的な義務はありませんので、労働者と使用者との間での取り決めによります。
会社側の注意点としては、労使間の取り決めによって成立した便宜供与が慣行として定着すると、将来、会社が労働組合に供与している事務所を取り上げたり、組合費を徴収することを一方的にやめたりすると不当行為となる可能性がありますので慎重な判断が必要です。

 会社にとって、労働組合の結成は、いい面もあればそうでない面もあります。どちらもいい会社にしたいという気持ちは一致しているかもしれませんね。